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■市民プロデューサー通信....................................vol.29
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2001.9.30発行  第29号 

======== NPO世紀のチェンジリーダー《市民プロデューサー》通信==========
■市民プロデューサーとは?
「地球市民として地域に根ざし、アイデアとユーモアとネットワークを武器に、
様々な分野の人たちと協働しながら、企業や行政には出来ない社会的イノベー
ションを、経済性をも無視せずに創り出せる人」のことです。
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★このメールマガジンは、社会福祉法人大阪ボランティア協会が主催する「市
民プロデューサー養成講座」運営チームのメンバー有志によって発行されてい
ます。

━━━━━━━━━━━━━━━  も く じ  ━━━━━━━━━━━

■特集■ ボランティア国際年記念フォーラム
     市民としてのスタイル夏の陣「企業と市民の融合マジック」

     シンポジウム
    「協働の可能性〜企業と市民の融合マジック」

     福原 義春氏(株式会社資生堂 名誉会長)
     田代 正美氏(財団法人経済広報センター 総務部兼国際広報部長)
     中村 順子氏(特定非営利活動法人
            コミュニティサポートセンター神戸 理事長)
     進行:早瀬 昇(社会福祉法人 大阪ボランティア協会 事務局長)
     
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 8月26日、大阪ボランティア協会では、ボランティア国際年記念フォーラ
ム「市民としてのスタイル」夏の陣として、企業と市民の融合マジックをテー
マにフォーラムを開催しました。

 フォーラム後半のプログラム、シンポジウム「協働の可能性〜企業と市民の
融合マジック」の内容を、2回にわけてお届けします。前半の基調講演(福原
義春氏 「社会が変わる、企業が変わる 新しい市民社会の到来に向けて」)
の内容は、情報誌月刊ボランティア11月号に掲載されます。月刊ボランティ
アについては下記アドレスにお問い合わせください。

○問合せ・申込先○
社会福祉法人 大阪ボランティア協会
(月刊ボランティア編集部 担当:岡村)
〒530 大阪市北区同心1-5-27 市立社会福祉研修センター内
Tel 06-6357-5741 Fax 06-6358-2892
mailti:k.okmr@jasmine.ocn.ne.jp
*購読申込はこちらから!↓
    URL:http://cw1.zaq.ne.jp/osakavol/getuvol/mvi368.html

*フォーラムダイジェストの前半は、28号でお届けしています。
 バックナンバーはホームページでごらんいただけます。

:::::::::::::   (後半)   :::::::::::::010923

【早瀬】 僕は冷戦の終焉が関係してると思うんです。88年に冷戦が終わった
でしょ。社会体制に関わる雰囲気が変わった。「そもそも資本主義でいいのか」
という話から始まると、なかなか企業とは組めなかったと思います。

 ところで、家に、1992年のアエラがありました。この表紙が福原さんです。
なぜ福原さんが表紙かというと、1990年に企業メセナ協議会が生まれています。
その初代の会長が福原さんなんです。「発足して2年、最初は見返りを求めな
いしっかりした信念や努力が必要だと、企業の精神論をさかんに強調したが、
最近は考え方がちょっぴり変わってきた。文化イベントをあまりに見え透いた
広告として使うのはよくないが、多少の見返りを求めてもいいのではないか。
企業の文化活動が、あとの社会にどう根付くかを重視したい」というコメント
があります。このあたりの変化は、どういうものだったのでしょう。

       ●フランスと日本。お互いのうるわしい誤解

【福原】 企業メセナ協議会のことをはじめにお話しますと、最初のきっかけ
は日仏文化サミットです。フランスの文化情報省と朝日新聞社が組んで、3年
に1度、フランスと日本で文化人、知識人を集めてセミナーを開催しています。
その3回目か4回目を京都でやったのですが、そのテーマが企業と文化でした。
芸術文化について、企業は何らかの役割を果たせるか、ということです。フラ
ンスでは、文化は国営です。フランスでは美術館から博物館からすべて国家公
務員で、文化に関する支出を国民一人あたりで比べると、2桁ほども大きいの
です。フランスは日本政府の文化関連の支出がこんなに少ないのは、民間がが
んばっているからだろうと考えて、日本の民間の人たちと議論したいと思って
いた。私たちはフランスの政府がここまでやるのは実にうらやましいと思い、
フランスでは、政府がそれほどやらないのに民間が企業活動をしながら文化活
動にもお金を出して力を発揮している日本をうらやましいと思っていた。お互
いに、うるわしい誤解があったわけです。

 その時、わかったことがあります。文化国営というのは、よさそうなのです
が、美術館・博物館の守衛にいたるまで全部国家公務員ですから、ストがあれ
ば全部お休みになりますし、国家に何らかの形でつながっている芸術家はいろ
んな支援を受けますが、それ以外の人は誰も助けてくれない。日本では、企業
なり美術評論家が芽の出そうな人には支援し、育てています。

 バブルがはじけて、メセナは死んだなどと言われたりします。かつてのよう
に大きな会社がベルリンフィルハーモニーを呼んで来たりということはなくな
りました。販売促進的な、プロモーション的な大きなイベントが引っ込んでい
ったわけで、これはいいことなんです。その代わり、志のある、田代さんがお
っしゃるような、自分がどんな社会にしていきたいかというような観点で、文
化芸術活動にお金を出していく活動が残ってきました。実はこれはバブル後も
それほど減っていません。しかもその底は一昨年で、今もその金額はわずかで
すが上がっています。一社当たりの金額も増える傾向です。

 企業メセナ協議会は、私が理事長ですが、実際に仕事をしている専務理事が
サントリー芸術財団出身の出口さんに替わりました。出口さんは市民運動の大
家で、今やメセナ協議会は「市民との融合」を旗印に掲げて11年目に入ってい
ます。実は会社の市民化と同じようになってきています。

 田代さんから冒頭、企業のリーダーから市民と言う言葉を初めて聞いたとい
うお話がありましたが、これは会社が市民運動にお金を出すということではな
いんです。市民の何たるかを理解して経営していくこと。もうひとつ、社長以
下全員が、実は市民なんです。会社のなかで市民的に仕事を進めていけばそれ
でいいんじゃないかというのが私の考えです。仕事をしながら市民運動の団体
と話し合ったり援助することもありますが、それは大きなことではない。それ
より会社のなかの一人一人が市民であることを自覚して働いていくことが大切
です。昼は会社人間でも夜、土日はコミュニティの中で活動する。それはある
意味では二重生活かもしれませんが、そういう人たちが増えていくであろうと
考えています。

 それから、市民運動の団体に行くのが怖いというお話もありましたが、そん
なことを考えること自体がおかしい。早瀬さんと田代さんのお話では、こうい
う変化はここ10年で起こったということですが、明治時代の話じゃないんです。
情報化の時代で、物事の進行がスピードアップしています。2010年になったら、
今日話しているようなことも笑うような時代になると思います。

 さきほど、「社会を変えるというのは、会社のおごりではないかと批判され
た」という話がありましたが、違うんです。会社の人ががそうなってくると、
自然に社会が変わってくるんです。変えるんじゃなくて、変わる。

 私は今、鎌倉市の行財政改革会議の座長を務めさせていただいていますが、
そこでのキーワードは「みんなが住みたい鎌倉をつくろう」です。はたして市
の行政は、予算配分はそうなっているかという論議をしています。私たちの生
きたい社会をつくることは、会社にいようと、ボランティア活動をしていよう
と、同じだと思います。

 ボランティア活動団体の人に議論をふっかけられるというのも、とんでもな
い話で、困ったことがあったら相談すればいいんです。教えてくださいと言え
ば、いい解があるはずなんです。

              ●リーダーの条件

 NPOや現場に言ってみるとだいたいわかるという話と反対の例があります。
山本寛斎さんが、花火をあげるイベントをしていますが、彼はその支援を求め
て300社くらい訪問しているそうです。彼の偉いところは、直接訪ねるとこ
ろです。そのうち、200社くらいがお金を出してくれるそうです。そのうち、
応接に入った途端、「この会社はお金を出してくれるかどうか、わかるように
なった」そうです(笑)。

 最後に、リーダーの話が出ましたが、リーダーが重要なのは会社も同じです。
ただ、会社では「よくやった」とボーナスを出せばいいんでしょうが、ボラン
ティア団体ではそれではいけない。

 リーダーには2つの要素があります。「あの人についていけば、間違いのな
いことができる」と思えるか、もう一つはそのリーダーが「よくやりましたね」
とほめることです。言葉だけではだめで、心でほめる。この2つが条件である
と、私は考えています。

【早瀬】 なんだか、企業の方のお話を聞いているような気がしないですね。
以前、経団連1%クラブの会長をなさっていた朝日生命の若原前会長がおっし
ゃっていたことですが、「社会貢献に熱心な企業が増えている。しかし、残念
ながら、その企業が業界におけるトップシェアを占めるということには、なか
なかならんのだよな」と。つまり、社会貢献に熱心な会社の商品が市民に支持
される関係になっていない。

【福原】 やたらに儲かって社会関係は重視し始めたけれども、人気はないと
いうこともあります。それはしょうがないんですよ。しかし、長い目で見てい
ただくと、きちんと社会関係を大切にしている会社は支持されていると思いま
す。ITバブルでいくつもの会社が株高になって、その後また3分の1くらい
になったりしてますよね。それらの会社はあわてて今、社会関係に乗り出して
いると聞きます。そういうことを聞くと、仕事をきちんとやっていれば、RO
Eが低かろうが高かろうが、従業員をリストラしないでちゃんと給料を払いな
がら支持をいただくことができるはずだろうと、私は思っています。

 それから若原さんはこういうこともおっしゃっています。「学生時代に資本
主義というのは資本の再生産だと教わって、ずっとそう思っていた。しかし、
最近わかったのは、文化など、資本以外のものの再生産もあるんだな」と。

【早瀬】 社会貢献をきちんとしない企業が長生きしないことの例かと思いま
すが、資生堂は今年120年だそうです。3世紀生きている企業はあまりない
んだそうです。

【福原】 このあいだ、京都で遷都1200年祭がありました。ワコールの方が奉
加帳をもって見えました。一口何万円と書け、ということですよね。なんとそ
のとき、遷都1100年祭の奉加帳をお持ちになるんですよ。そこに「資生堂 福
原有信 金何万円」と書いてあるのを見せられて、断るわけにいかなくなりま
した。

【早瀬】 企業の側もかなり変わってきたというお話で、私たちも自信を持ち
つつあります。ところで中村さん、現実にやっておられる場面ではいかがです
か?

        ●“産業廃棄物”が地域のNPOに???

【中村】 そうですね。優れた企業もあるけれど、そうでない企業が圧倒的に
多いと思いますね(笑)。今まで、企業の社会貢献というのは、もっぱら私た
ちが企業の資産を享受するという立場だったと思います。たとえば助成金だっ
たり、物をいただく、障害者の雇用やボランティア休暇もそうだと思います。
震災の時には、資生堂の方にも来ていただいて、仮設で高齢者にお化粧をして
いただいた時は、みんな生き返ったように生き生きしていました。ありがとう
ございました。

 ところが、とくに震災後、企業のリタイヤの方が地域に戻ってくるようにな
ってきています。これから、団塊の世代がリタイヤする頃になるともっと増え
ます。その中で、私たちNPOの活動に入って来られる方は1%以下でしょう。
少数ですが、それは世の中全体から見れば、たいへん進んだ、優れた方です。
しかし、その方ですら、なお、地域の文化になじむのに時間がかかります。

 そうなると企業の中で必死になって日本経済を立ててきた、こんな言い方を
したら悪いのですが、これまで全身全霊、すべてを企業にかけて働いてこられ
て、産業廃棄物状態になって地域の文化と違うものを持って入ってこられる。

 実際にNPOで働いていただく、またはスタッフとしてボランティアで活躍
していただくには、相当価値の転換をはからないと、有力な人材にならないの
です。これまでは、企業のプラスの資産をもっぱら享受する立場だったのが、
最近は企業の負の資産までNPOが受けないといけないのかなぁと思っていま
す。

 私どもは、インターンシップを行う、価値割センター(NPOワークセンタ
ー)を一昨年創りました。甲子園の「カチ割」と違いますよ。そのとき、500
万あった利益をつっこんで、センターを創ったのです。NPOワークセンター
と名づけて、商店街の真ん中に立ち上げて研修やプロジェクトをやっています。

 企業文化とNPO文化の違いは、生産をして、売って消費する、大量に捨て
ていく、使い捨て文化が企業だとしたら、私たちNPOは、持続可能を最大化
する、あるものは大事に使うという文化です。ここの違いがいちばん大きいで
しょうか。

 2つ目が、自己責任をどう取れるか、と言う問題です。個人差もありますが、
行政や企業など大きな組織に務められた中で、組織が責任を取ることになれて
しまっているので、どうも自分の責任というと逃げ腰になる方が多い。誰かが
旗振ってくれればついていっても、自分でやるのはいや、ということです。

 福原さんの講演で、ペットボトル収集のちらしを配られた事例がありました
が、あれなんです。最初はすごく勇気がいります。だけど、自分でちらしを撒
ける人は1%もいません。ごくごくわずかです。

 こういう人たちを地域のNPO文化になじんでいただく必要があります。基
本はOJTです。いくらドラッカーの本をたくさん読んで勉強しても、行動に
結びつかなければいけません。実際やりながら本を開かないとだめです。本だ
け読んで起業プランを立てても、いいものはできません。地域のタウンミーテ
ィングを繰り返し行いながら、プランを立てると同時に、お金も権限も渡して
リーダーになっていただく。そういう半年を価値割りセンターで過ごした結果、
4人の優秀なNPOのリーダーが生まれました。4人は、マスコミ、アパレル、
商社系など日本を代表するような大手企業で、かなりの部署にいた方です。た
だ、6カ月前は違いました。

「お茶。」「コピー。」
「女の子て、誰のことです? みんな自分でするんです」。

「スタッフに世話になったから、昨日、一杯おごった。領収書もらったし」
「何言うてんの。NPOはみんな割り勘。交際費なんて出るわけないじゃない
 ですか」

「ちょっと急いだからタクシー乗ったけど、ええかな」
「あきません。バスと電車で行ってもらわな、困ります」

 なんでも、女の子がやるんやろ、という発想で、感覚が相当違います。最も
違うのはお金です。事業を成り立たせるために、NPOは自分でもお金を調達
しないといけません。申請書を書く、助成団体や行政から取ってくるというこ
とですが、そのあたりが社会の仕組みとして準備されていないと、企業人が気
持ちだけで地域にそのまま返ることはできないのではないかと思います。

       ●「社会への投資、そして若者への投資」

【田代】 そこまで企業人がお世話になってるとは知りませんでした(笑)。
これからもお世話になり続けると思いますが、よろしくお願いします。

 じゃ、結局企業は変わったのかと聞かれれば、福原さんもおっしゃったよう
に、変わったと私は思います。企業がやる社会貢献プログラムも、おもしろい、
わくわくするようなものも出てきました。

 ひとつ、日産の事例を紹介したいと思います。日産は、「NPOラーニング
奨学金制度」といって、学生がNPOで9ヶ月間学びながらアルバイトをする。
その間のアルバイト料を日産が負担する。NPOは学生に労働力として期待す
ると同時に、自分たちのもっている専門技術やミッションを伝授する。学生は
学ばせてもらうかわりに、働くというものです。

 年間600万くらいの予算で、東京と大阪・神戸でやっておられます。大阪ボラ
ンティア協会にも学生が来ています。そういう奨学金を負担することで、日産
に直接的なメリットはないです。ゴーン社長はこれを「社会への投資、そして
若者への投資」と呼んでいます。まさしくそれしかない。日産のリクルート活
動ではないので、将来就職してもらおうなんて思っていないし、NPOの世界
に就職してもらおうとも思っていません。それが結局、社会を変えていくと思
うんです。NPOに若いときにふれる経験をした人が、社会に出ていって企業
人になったときに、将来定年を迎えるときには、中村さんにお世話にならない
とどうしようもない状態にはならないと思います。

 NPOを経験した学生は、大学では経済学を専攻したけれど、NPOで環境
問題を学んだというふうに、自分には専門が2つあると、ダブルメイジャード
を誇って卒業していきます。

 これは実は簡単ではないんです。日産は100以上のNPOを知っていると言っ
てました。その中から15を選び抜く。というのも、学生は労働力として提供さ
れるのでなく、知的なものに触れて、専門技術、知識に触れられないといけな
い。そういう条件を持っていないNPOには出さない。また、NPOでは共感、
シェアなど企業とは違う価値観を大事にしますから、それを伝授できないとこ
ろは選ばない。選考はたいへんだと思います。それだけの力量をもったNPO
が日本中に増えてほしい。また、企業の方も、若者への投資に、そんなに大き
な金額ではないのですから、お金や資材を投入してもいいのではないかと思い
ます。

            ●コストから投資へ

【早瀬】 投資のことを英語ではInvestment と言うそうですが、これまでの社
会貢献は経費(cost)だった。「経費から投資へ」という考え方なんでしょうね。
今のお話で気になるのは、100のうち15が選ばれるということは85は落ちるわけ
です。これまでの議論では企業(人)の旗色が悪かったのですが、企業だけが
一方的に悪いはずはなくて、「市民団体のこんなとこがまずい」という点があ
るんじゃないかと思います。経団連は、いろんなプロポーズを受ける窓口になっ
てきたと思いますが、こういう団体は困ったとか、そういう例はありますか。

【田代】 多いのは、独りよがりですね。神戸のときなどよくわかりましたね。
震災の時、1月20日から5月14日までいましたが、最初にやったのは携帯電話
を配ることでした。600台を日立家電さんからいただいて、それをボランティア
の拠点にまいていきました。「1ヶ月間の通信費は経団連で持ちましょう。1
カ月たったら、回収します」という約束で緊急措置をしました。私の誇りは、
この600台をすべて回収したことです。これは私の誇りであると同時にNPOの
誇りでもあると思います。1台の紛失もありませんでした。ただ、1カ所だけ、
「経団連は状況がわかっていない」と、なかなか回収に応じてくれなかった団
体がありました。私どもは、「長期戦になるんでしょ。だったら、携帯電話の
ようなコストの高い物では持ちません。NTTが固定電話を引き始めています
から、移ってもらいたい。その費用なら持つから携帯を返してほしい」と説明
したのですが、もめました。
 結局、継続していく時には、組織であることを忘れてはいけないんです。N
POの“O”は “organization=組織”のことです。外部に対する説明責任も
持てないでは、共感は得られないと思いました。

【早瀬】 あの時、田代さんは「感謝されてもいいはずなのに、なんで私が怒
られることになるんだ」とずいぶん怒っていたのを覚えています。

 これも田代さんに聞いた話ですが、「企業の社会貢献担当者は、助成先を決
めるのにクビをかけて寄付するんだ」と。もし寄付した団体がつぶれでもした
ら、どうなるか。「その金は、どこに行ったんだ!? 会社の金やで」という
話です。もらった以上は、資金をきちんと還元するという自負をもっていない
とだめだと。

【福原】 企業でやっていることも、リスキーな投資なのは同じなんです。た
とえば私たちの会社では、戦時中は化粧品の製造販売、使用は禁止されました。
その結果、会社は胃腸薬つくったり、歯磨きつくったり、包帯つくったりして
生き延びてきたわけです。戦争が終わってますますおかしくなっちゃって、そ
のとき、銀座支店長さんが本店の稟議に、一身をかけて稟議を通していただい
て今日があるのです。その方はその功績で頭取になった。

 その人が稟議したのはこうです。この会社には人材がそろっている。人材が
育ったのは、それは前の経営者がずっと「資生堂は書生堂」と呼ばれたように、
若い者は勉強しろと言ってきたからだ。英語でもそろばんでも簿記でも、エス
ペラントでも、何でも勉強しろと奨励しようと。その結果、昭和26年ころには
けっこう人材がいたのです。

 それから、トヨタのアートマネージメントプログラムというのが、ご紹介し
ます。宣伝に使っていないので、ほとんど知られていません。地方の文化芸術
振興をするには、アートマネージャー、アートプロデューサーが必要です。し
かし、そういう人は東京の学校を出て東京で仕事をしていますから、田舎に帰
ることはないんです。そこで、地方でアートマネージャーのためのセミナーを
やっておられます。

【早瀬】 今日はどうも、ありがとうございました。

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| 【編集部より】                    |
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|         mailto:PBC00634@nifty.ne.jp       |
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